お役立ち情報満載!
製品カタログはこちら

blog

技術ブログ

繊維選びで変わる不織布の性能と設計ポイント

Date 2026.03.31

繊維選びで変わる不織布の性能と設計ポイントのサムネイル

私たちは、エアレイド不織布を開発しているチームです。

不織布は、用途や目的に応じて様々な繊維を組み合わせて作られます。
現場では、お客様が求める性能に対して、どの繊維特性が合うかを考えながら、不織布の設計を行っています。

「繊維」と一口に言っても、種類ごとに長さや太さ、表面状態、熱接着性などの特性は異なります。
天然繊維、合成繊維、再生繊維など、素材の種類によって使われ方も変わります。

また、繊維の特性によって、選択できる製法や工程条件も異なります。
使用する繊維の種類や特性によって、工程での扱い方や結合方法が変わり、
シートの風合いや剛性など、仕上がりに違いが現れます。

この記事では、実際に不織布を設計する際に用いられている繊維と不織布の関係について、
素材・工程・構造の視点からお話します。

▼この記事の構成

1.不織布に使用される繊維
2.天然繊維
3.合成繊維
4.再生繊維
5.bico繊維(複合繊維)
6.機能性繊維
7.用途・機能ごとに見る素材と製法の組み合わせ
8.まとめ


1. 不織布に使用される繊維

不織布に使用される繊維には、さまざまな種類があります。

天然繊維では、パルプやコットン、麻などがあり、主成分はセルロースで吸水性や柔らかさが特徴です。
再生繊維にはレーヨンやリヨセルなどがあり、天然由来の原料を化学的に再生したもので、吸水性や柔らかさを持ちます。
合成繊維では、ポリエステルやポリプロピレン、ナイロンなどがあり、強度や熱融着性、寸法安定性に優れています。
合成繊維の中には、芯鞘型やサイドバイサイド型などのbicoタイプ(複合繊維)もあり、用途や性能要求に応じて選定されています。
また、機能性繊維(高吸水性・抗菌・難燃・導電など)も、特殊な性能を付与する目的で使われています。

これらの繊維は、用途や求められる性能に応じて、不織布の設計に用いられています。


2.天然繊維

天然繊維は、自然界に存在する植物や動物由来の素材を原料としています。
主にセルロースを含む植物繊維が多く、吸水性や柔らかさ、独特の風合いが特徴です。
原料や繊維の種類によって、仕上がりや用途が大きく変わるため、現場では目的に応じて選定されています。

2-1. パルプ

パルプは主に木材由来の短繊維で、繊維長は1〜5mm程度と短く、表面には微細な凹凸が見られます。
主成分はセルロースです。

木材原料には針葉樹と広葉樹があり、針葉樹パルプは繊維が長く、柔軟性や絡みやすさが特徴です。
広葉樹パルプは繊維が短く、密度が高く、しっかりした仕上がりになります。
竹や藁、バガスなどの非木材パルプもあり、竹パルプは太くてしっかりした構造、バガスパルプは柔らかく吸水性に優れています。

こうした原料や繊維特性の違いは、衛生材料や調湿シート、食品包装など多様な不織布製品の仕上がりや用途に直結します。
現場では、求める風合いや吸水性、強度に応じて原料や繊維の種類を選定しています。

2-2. コットン

コットンは綿花由来の中〜長繊維で、繊維長は10〜40mm程度、太さや
表面のねじれ・節の有無によって柔らかさや吸水性、保湿性が変わります。
主成分はセルロースです。

不織布用途では、脱脂綿や漂白綿など、原料段階で脱脂や漂白処理を施した短繊維が主に使われます。

コットンは肌触りの良さや吸水性が重視される場面で多用され、医療用不織布やフェイスマスク、
衛生材料などに活用されています。
繊維の長さや太さ、表面状態を見て、用途や目的に応じて選定されます。


2-3. 麻

麻は主にリネンやラミーなどの植物由来の長繊維で、繊維長は20〜100mm程度と長く、
主成分はセルロースです。

一般的な不織布用途では、麻繊維は「カット麻」など短繊維化(切断)したものや、
麻パルプとして解繊・短繊維化したものを利用します。

繊維は高い剛性と通気性、耐久性を持ち、表面はやや硬く、吸湿性や速乾性に優れています。
麻繊維は特殊用途やフィルター、耐久性重視の不織布製品に使われることが多く、
通気性や強度が求められる場面では、しっかりした麻繊維が選ばれます。
繊維の長さや硬さ、表面状態を考慮して、用途や目的に応じて選定されています。


3.合成繊維

合成繊維は、石油由来の化学原料から製造される繊維です。
繊維長や太さ、表面状態を製造条件で細かく制御できるため、
均一な品質や特殊な機能を持たせることが可能です。

熱融着性や強度、耐熱性などの特性を活かし、幅広い不織布製品に利用されています。

3-1. ポリエステル(PET)

ポリエステルは石油由来の合成繊維で、主成分はポリエチレンテレフタレート(PET)です。
繊維長は用途によって調整され、長繊維(フィラメント)や短繊維(ステープル)として使われます。
太さや表面状態は製造条件で制御でき、均一な繊維径や滑らかな表面が得られます。

熱融着性や強度、耐熱性、寸法安定性に優れ、スパンボンドやエアスルー不織布など幅広い製法で利用されています。
用途や目的に応じて、繊維径や融点、表面状態を選定し、衛生材料や包装材、
フィルターなど多様な不織布製品に活用されています。

3-2. ポリプロピレン(PP)

ポリプロピレンは石油由来の合成繊維で、主成分はポリプロピレン(PP)です。
繊維長や太さは製造条件で調整され、軽量で疎水性が高く、融点が低いのが特徴です。

熱融着性に優れ、衛生材料や包装用途で主流となっています。
スパンボンドやメルトブローンなどの製法で多用され、融点の低さが結合工程の温度条件に影響します。
用途や目的に応じて、繊維径や融点、表面状態を選定し、衛生材料や包装材、フィルターなどに活用されています。

3-3. ナイロン

ナイロンは石油由来の合成繊維で、主成分はポリアミドです。

繊維長や太さは用途に応じて調整され、高強度・耐摩耗性・吸水性を持ちます。
伸縮性や表面状態も製造条件で制御でき、特殊用途やフィルター材料に使われることが多いです。

用途や目的に応じて、繊維の長さや太さ、表面状態、耐摩耗性を考慮して選定されます。


4.再生繊維

再生繊維は、天然原料を化学的に再生して作られる繊維です。

繊維長や太さ、表面状態を製造条件で細かく制御できるため、
均一な品質や特殊な機能を持たせることが可能です。
吸水性や柔らかさ、肌触りの良さが特徴で、幅広い不織布製品に利用されています。

4-1. レーヨン

レーヨンは木材パルプなどの天然原料を化学的に再生して作られる短繊維です。
繊維長は用途に応じて調整され、表面は滑らかで光沢があります。
主成分は再生セルロースで、吸水性や柔らかさ、肌触りの良さが特徴です。

レーヨンは水分をよく吸い、絡みやすいため、衛生材料やフェイスマスク、医療用不織布などに多用されます。
用途や目的に応じて、繊維長や太さ、表面状態を選定し、柔らかさや吸水性を重視する場面で活用されています。

4-2. リヨセル

リヨセルはユーカリなどの木材パルプを原料とし、溶剤法で再生される短繊維です。
繊維長や太さは製造条件で調整され、表面は滑らかで強度が高いのが特徴です。
主成分は再生セルロースで、吸水性や柔らかさに加え、環境負荷の低さも評価されています。

リヨセルは衛生材料や調湿シート、環境対応不織布などに使われ、用途や目的に応じて、
繊維の長さや太さ、表面状態、強度を考慮して選定されています。


5.bico繊維(複合繊維)

bico繊維は、芯部と鞘部、あるいは複数のポリマーを組み合わせた複合構造の繊維です。
構造や成分の違いによって、部分融着や空隙維持、カールやバルキー性など、
特殊な機能や仕上がりを実現できます。

用途や目的に応じて、構造やポリマーの組み合わせを選定しています。

5-1. 芯鞘型(core-sheath)

芯鞘型bico繊維は、芯部と鞘部で異なるポリマーを組み合わせた構造です。

芯部にはポリエステルやポリプロピレン、鞘部にはポリエチレンや低融点ポリエステルが使われます。
鞘部だけが熱で溶けて結合点を形成するため、空隙構造を維持しつつ部分的な融着が可能です。

主にエアスルー不織布や衛生材料で利用され、柔らかさや嵩高性、部分融着によるしっかりした
構造が求められる場面で選定されます。

5-2. サイドバイサイド型(side-by-side)

サイドバイサイド型bico繊維は、繊維断面で二つのポリマーを左右に分けて配置した構造です。

PET+PEやPET+PPなどの組み合わせが多く、熱や水分による収縮率や膨張率の差で
カールやバルキー性(嵩高性)を付与できます。
ふんわり感や特殊な風合いを出したい用途で使われ、衛生材料や特殊不織布製品に活用されています。

用途や目的に応じて、ポリマーの組み合わせや繊維径、収縮特性を選定します。

5-3. 島型(islands-in-the-sea)

島型bico繊維は、多数の微細なポリマー(島)を別のポリマー(海)で包む構造です。
ナイロン+ポリエステルやPP+PEなどの組み合わせがあり、後工程で「海」成分を
溶解除去することで超極細繊維を得ることができます。

マイクロファイバー不織布や高機能フィルターに利用され、細かい繊維径や
特殊な表面状態が求められる場面で選定されます。

用途や目的に応じて、島・海の成分や繊維径、溶解除去条件を調整します。


6.機能性繊維

機能性繊維は、吸水・保水、導電、抗菌、難燃など、特定の機能を持つ繊維です。

特殊な性能を付与することで、調湿材や衛生材料、防炎シートなど、用途に
応じた不織布製品に活用されています。
現場では、求める機能や性能に応じて繊維を選定しています。

6-1. 高吸水性繊維(SAF)

高吸水性繊維(SAF)は、アクリル系高吸水ポリマーを主成分とする短繊維です。
繊維長や太さは用途に応じて調整され、吸水・保水機能が特徴です。

調湿材や衛生用途(吸水パッド、シート)で使われ、水分散性や結合方法に
制約があるため、他の繊維と混合して使われることが多いです。

6-2. 導電性繊維

導電性繊維は、ポリエステルやナイロンに炭素、銀、銅などの導電性成分を複合した短繊維です。
繊維長や太さは用途に応じて調整され、静電気対策やセンサー用途、フィルター材料に使われます。
混合比率や結合方法が重要で、用途や目的に応じて導電性成分や繊維径を選定します。

6-3. 抗菌繊維

抗菌繊維は、ポリエステルやレーヨンに銀イオン、銅イオン、亜鉛などの抗菌成分を複合した短繊維です。
衛生材料や医療用途で使われ、抗菌成分の均一分散や結合方法が課題となります。

6-4. 難燃繊維

難燃繊維は、ポリエステルやアラミド系繊維に難燃成分を複合した短繊維です。

防炎シートや特殊用途で使われ、難燃成分の分散や結合方法が重要です。


7.用途・機能ごとに見る素材と製法の組み合わせ

不織布の設計では、まず用途ごとに求められる性能を整理し、その性能に合う繊維を考えます。
肌ざわりを重視するのか、吸水性なのか、強度や機能性なのかによって、
選択肢になる繊維は変わります。

次に、その繊維の特性を活かせる製法はどれかを考え、工程の中で無理なく扱えるか、
狙った構造や仕上がりが出せるかを確認します。
繊維の性能が用途に合っていても、製法との相性が悪ければ成立しません。

この章では、用途や機能ごとに、どのような繊維特性が求められ、それを成立させるために
どの製法が選ばれているかという視点で、不織布の設計を見ていきます。

7-1. 吸水性・保水性が求められる用途

吸水パッドや調湿シートでは、エアレイド不織布でパルプが中心に使われています。

高吸水性繊維(SAF)は、エアレイド原料の一部として配合されるほか、
ニードルパンチ不織布でも使用されています。
スパンレース不織布ではコットンやレーヨンが使われることが多く、
保水性は医療用不織布でも重要な性能です。

吸水量・保持力・圧縮下での性能など、用途や性能要求に応じて素材や製法の組み合わせが選定されています。

7-2. 柔らかさ・肌触りが重視される用途

フェイスマスクやウェットティッシュなどでは、スパンレース不織布でレーヨンや
コットンが多用されます。

エアレイド不織布ではパルプが中心ですが、柔らかさの調整には繊維の選定や配合比率が重要です。

リヨセルも柔らかさを出したい用途で使われることがあります。

赤ちゃん用おむつの表面材などはエアスルー不織布で、bico繊維が使われています。

肌触りや柔らかさの評価は実際の製品サンプルを触って比較し、
最終用途に合わせて素材や製法を選びます。

7-3. 強度・耐久性が必要な用途

包装材や産業用不織布、フィルターなどでは、スパンボンド不織布が多用されます。

スパンボンドは樹脂を溶融して直接繊維化・シート化するため、強度や寸法安定性に優れています。
ナイロンやbico繊維なども、特殊用途や高強度が求められる場面で使われます。

引張強度・耐久性・寸法安定性などの物性データをもとに素材や製法を選定します。

7-4. 機能性が求められる用途

抗菌・難燃・導電などの機能性は、湿式不織布やエアレイド、スパンボンドなど、
さまざまな製法で実現されています。

機能性繊維は、用途や性能要求に応じて後加工や複合化も行われます。
医療用や特殊用途では、複数の機能性素材・製法が組み合わされることも多いです。

抗菌性の評価や難燃性試験、導電性の測定など、具体的な性能試験を経て採用が決まります。


8.まとめ

この記事では、用途ごとに求められる性能を起点に、繊維の特性と製法の関係を見てきました。
不織布の設計では、まず必要とされる性能を整理し、その性能に合う繊維は何かを考えます。

次に、その繊維特性を活かせる製法はどれかを確認し、工程の中で無理なく扱えるか、
狙った構造や仕上がりが成立するかを検討します。

繊維そのものの性能が用途に合っていても、製法や工程との相性によっては成立しない場合があります。
吸水性や柔らかさ、強度、機能性といった性能は、繊維の選定だけで決まるものではありません。
工程中での扱われ方や結合のされ方を通じて、構造や仕上がりとして現れます。
そのため、繊維径や繊維長、表面状態などの違いが、工程のどの段階に影響するかを切り分けながら、
素材と製法の組み合わせが検討されています。
不織布の設計は、性能、繊維、製法を個別に考えるのではなく、これらを前提条件として
組み合わせた上で成り立っています。

この記事では、その中で実際に行われている考え方と判断の流れについてお話しました。


※ 当社で配合可能な素材の一覧については、下記ページにまとめています。
配合検討時の参考情報としてご覧ください。
配合可能な素材(素材カタログ)


参考文献

一般社団法人 日本不織布協会
 『不織布の基礎知識』

日本産業規格
 JIS L 0222「不織布用語」
 JIS L 1913「一般不織布試験方法」

その他の記事

オンリーワンの不織布を
一緒につくりませんか?

お電話はこちらから

03-6327-1020

平日9:00 - 17:00